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加賀妙蓮

ご覧いただきありがとうございます。日本に2か所しか生育していない蓮を守り育てております。興味をもっていただき、ご支援いただけると幸いです。

持明院妙蓮縁起

北國巡錫中の弘法大師が、白髭明神より霊告を受け、この地に池を作り、種をまいた所、不思議な蓮が咲いたそうです。その種は、弘法大師が唐へ渡った際に、インドの般若三蔵法師より授かったと言い伝えられております。

写真は、本院の弘法大師像です。珍しいことに、背後、扉の内側に妙蓮が描かれております。

天然記念物指定

持明院妙蓮縁起にあるように遠い昔から妙蓮は持明院にて大切に育てられ守られてきたということがわかります。現在、石川県の天然記念物となっていますが、昔は国指定の天然記念物でした。経緯とその背後で活躍された金沢の偉人についても感謝の心と共にご紹介したいと思います。

国指定の天然記念物へ

みなさんは、藤井健次郎氏をご存じでしょうか。2023年に放送されたNHKの朝ドラ「らんまん」の藤丸次郎さんのモデルともされる金沢出身の植物学者です。東京帝国大学の大学院に在学中、持明院の妙蓮を研究され、植物学会でその生態について発表されたそうです。その発表により大正12年に国指定の天然記念物となりました。

 藤井健次郎氏は、その後、植物の染色体のらせん構造を解明するなど偉業を成し遂げられました。金沢ふるさと偉人館にて金沢の偉人として常設展に展示されておりますので、ご興味のある方は足をお運びください。この文章の作成においてもご協力いただいております。

参考リンク:金沢ふるさと偉人館(常設展)

https://www.kanazawa-museum.jp/ijin/exhibit/03fujii.html

県指定の天然記念物へ

金沢駅前にあった持明院ですが、水質の悪化などが原因となり、現在の神宮寺に移転いたしました。その際、生育地である蓮池の移転に伴い昭和47年に国の天然記念物指定を外されました。しかし、昭和63年に石川県の天然記念物指定がなされ、現在に至っております。同じ種類の蓮は、国内で滋賀県守山市にある近江妙蓮の2か所しかありません。こちらも滋賀県の天然記念物として指定されています。

参考:石川県

https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/siseki/ken3-10.html

保護活動

寺院が中心となり池の維持、保護を継続しております。池に流入する川がない人工池のため、用水路からの取水を人手で行っております。また、花弁が垂れて折れるのを防ぐため、支柱に結わえる作業などを一つ一つ行っております。

 最近では、用水路の水不足や、住宅地を経由することによる水質の悪化なども懸念しており、井戸の新設計画などを進めています。これらは、石川県や妙蓮を守る会の支援もありますが、寺院側での負担も大きく一気に行えない状況となっています。妙蓮を守る会への参加、または妙蓮を守る会を通じたご支援をお願いいたします。

 こんな花があるよとお友達などにお話しくださるだけでも助かります。花の維持を毎年続ける上で、多くの方に知っていただき見ていただき興味をもっていただくが大事と感じております。子供たちに金沢の花を残していければと思います。

蓮の特長

  • 多頭蓮
  • 花弁の数が多い
  • 蓮の実がならない

つぼみの間は花が1つですが、共同花弁が100枚ほど散ると、中から花群が2つ3つと現れます。多いものでは、7つ8つに分かれることもあります。

1つの花に花弁が1500枚から3000枚あると言われています。おしべ、めしべがないため、蓮の実はならず、花のまま枯れます。

 

咲き始め

つぼみの間は、通常の蓮と同じで花が1つです。

この時期に折れないように支柱へ結わえることを一本一本手作業にて行っています。

開花

複数の花を包む共同花弁が散ることで、中からつぼみ状の花が見えてきます。

通常の蓮のように花弁が開ききることはありません。

枯れる

蓮の実をつけることなく、花弁は垂れ、そのまま枯れていきます。